コラム

【コラム】これからはTCFDから投資家目線のSASBスタンダードへ

2019年は政府の後押しもあり、TCFD提言への支持表明企業数が世界で一番多い国が日本となりました。TCFD提言では、財務情報開示のメインストリームで気候関連財務情報を実際の企業活動のなかで関連付けて開示することを推奨しております。

 

CDP報告書によると、メインストリーム報告(統合報告書)での開示は増えてはいるものの、まだまだサステナビリィティ報告など自主的なESG情報開示を行っている企業のほうが主流のようです。

出典:2019 CDPレポートより

 

 

TCFD提言では、ガバナンス、経営戦略、リスクと機会、目標と指標という4つの枠組みに沿って気候関連情報を開示しましょうと言っていますが、何をどのような形で開示するかは詳しく言及されていませんので、各企業によって内容についてバラつきがあるようです。

 

あるコンサルティング企業の調査によれば、フォーチュン500における上位250社の企業の90%がサステナビリティレポートを発行しているのですが、そのなかから投資家が実際に欲しいサステナビリティ情報が入っていたかを質問したところ関連性がある情報は8%ほどだったとのことです。TCFD提言に準拠した開示が投資家にとって有益な情報になりうるかが今後の課題となってくるのではないでしょうか。

 

そこで最近注目を浴びているのがSASB(サステナビリティ会計基準審議会)のスタンダード(基準)です。2018年11月、投資家が投資判断に使えるようなESG情報開示の枠組み「SASBスタンダード」を発表しました。

 

SASB は、中長期視点の投資家の意思決定に貢献することを目的に、将来的な財務インパクトが高いと想定されるESG 要素に関する開示基準を設定し、11セクター77 業種について公開しています。SASBスタンダードの良いところは、財務状況にインパクトをあたえそうな定量的指標を業種別に具体的に提示しているところであり、投資家目線でつくれているところです。

 

2019年5月にSASBとCDSB(気候変動開示審議会)は共同でTCFD提言に基づく情報開示のための実務ガイダンス「TCFDインプリメンテーション・ガイド」を発表しました。
ガイドのなかでTCFDとの関連性についてわかりやすく解説しています。

 

出典:TCFD実務ガイドより

 

図3に示すように、TCFD提言が基礎となって、CDSBのフレームがあり、SASBの基準がより詳しくガイドしてくれるような建てつけとなっています。

   ・ TCFD提言⇒効果的な気候関連の開示のための基礎。
   ・ CDSBフレームワーク⇒財務的に重要な気候関連情報を統合して開示するフレーム。
   ・ SASBスタンダード⇒組織が識別している重要な気候関連リスクおよび機会に関する実績データを
      収集、構造化し、効果的な開示のための基準。

 

 

SASBのウェブサイトに行くとマテリアリティマップ(Materiality Map)という表が公開されており、全セクター・業種の開示トピックと指標を確認することができます。

 

※マテリアリティ・マップより建設の「エネルギー管理」を選択すると指標が出てくる

 

 

【詳細は下記URLをご参照ください】

<日本語版TCFDインプリメンテーション・ガイド>
https://www.cdsb.net/sites/default/files/sasb_cdsb-tcfd-implementation-guide_japanese.pdf

<SASBマテリアリティマップ>
https://materiality.sasb.org/