コラム

【コラム】SBTiが新基準発表:新たに1.5℃目標を設定

ひとつの目標基準から2つの目標基準へ

 

平成最後の月である4月下旬にSBTイニシアティブがSBT認定における新しい基準を発表しました。前回コラムでもご紹介したIPCCによる1.5℃特別報告書の内容を引き継ぐかたちで、さらに脱炭素社会をけん引する目的で実質目標が引き上げられました。

 

今までの基準と違うところは、2℃目標という一つの削減目標のなかで削減範囲の数値が決まっていましたが、今回はその2℃未満に抑える可能性をさらに高めた「2℃を十分下回る目標」(well-below 2℃=WB2C)と「1.5℃に抑える目標」(1.5℃)の2本建ての基準となっています。これら2つの基準は、削減経路を決定するために引用したシナリオが異なる為、明確にふたつに分けられています。

出典:SBTi, Target Validation Protocolより

 

今まで認定されていた2℃目標に対して年同率2.5%未満の目標に対しては、今年(2019年)10月15日以降の提出分から認められなくなります。既に認定を受けている企業については、最低5年以内に最新の気候科学情報に基づいて再評価し、必要に応じで再計算、再認定を受けるよう促しています。

SBTで目標設定する際に、CDP回答におけるシナリオ分析との整合性もチェックしたいところですが、今のところ1.5℃目標に対応した公表されている参照シナリオは存在しないようです。今後1.5℃ 目標に対する参照シナリオも揃えられる予定のようです。

 

新しく追加された資料も充実

 

新SBT基準公表にあたって、新しく説明資料が追加されました。資料は5つあり 、SBT設定マニュアル(Science-based Target Setting Manual) の土台として、今回の基準策定における参照シナリオやプロセスについて説明している「SBT設定根拠」(Foundations of Science-based Target Setting)が追加されました。また、SBT認定において認定基準の解説とどのようなプロセスで認定作業が行われるかが記載されている「目標認定プロトコル」(Target Validation Protocol)も新しい資料となります。特に業種別に詳しく基準の解説が書かれているので、基準書と並行して確認が必要です。

 

出典:SBTi, New Resources and Criteria for Setting Science-based Targets, 4月30日のWebinar資料より赤枠を加筆

 

また、Scope 1,2の目標設定に欠かせないエクセルベースの自動計算ツールも改定されています。今回の改定でScope 3のシミュレーションもできるようになっていますので、チェックしてみてください。

 

【SBTi公表・新しく追加された資料のページはこちらから】
https://sciencebasedtargets.org/resources/