コラム

【コラム】SBTが新基準へ:認定に向けCO2削減目標は気温上昇1.5℃未満が前提

昨年10月に出たIPCCの特別報告書
昨年(2018年)10月に国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が1.5℃特別報告書(*)を公表しました。パリ協定では、世界共通の長期目標として、産業革命前から平均気温の上昇を2℃より十分に下方に保持するというものでしたが、そのあとに「1.5℃未満」を努力目標とすることが掲げられています。今回の特別報告書は1.5℃未満に抑えた場合の影響は2℃に抑制した場合とどれくらい違いがあるかを科学的に検証しています。
そこから分かったことは、
・工業化以前に比べて、人間活動によって約1℃世界平均気温は上昇した(可能性の高い範囲は0.8℃から1.2℃)。
・現在の気温の変化率が続けば、高い確率で、2030年から2052年の間で1.5℃に到達。
・世界平均気温が1.5℃上昇の場合と2℃の場合の差は高緯度地域で大きい。

 

出典:地球環境戦略研究機関(IGES), 「IGES COP24報告セミナー世界の潮流と日本のゆくえ―さらに強まる2℃/1.5℃目標の実現に向けたコミットメントー」発表資料より

 

ということです。そして、もうすでに気候変動の影響で物理的な災害が増えてきたと言われていますが、1.5℃と2.0℃では影響に相当程度違いがある、言い換えると1.5℃目標のほうがよりリスクを最小限に防げることがわかってきました。パリ協定の2℃目標では十分ではないのではないか、という議論です。

 

SBTイニシアティブ、今年10月より新基準による認定へ
そこで世界の脱炭素経営への移行をけん引する立場であるSBTイニシアティブは、認定基準を現状の2℃目標から更にハードルを上げると表明しました。
新基準では、これまでの2℃を十分に下回る水準に抑える基準(well-below 2℃)と1.5℃に抑える基準の2通りによる認定になります。
現状SBTの2℃目標水準では、2010年~2050年で49%~72%の削減が求められていますが、IPCC1.5℃特別報告書では、2010年から2030年までに45%、2050年には実質ゼロ、カーボンニュートラルとすることが必要となっています。

 

 

SBTイニシアティブは、10月以降の申請については新基準で認定すると発表しています。これから認定を受けたい企業にとっては、ハードルがあがります。既に認定を受けている企業も5年ごとの見直しが必須となり、見直し時期から順次この新目標に合わせて検討することが必須となるため、最終的には削減目標を全体として引き上げ、脱炭素化が加速されることになります。

新しい基準については、SBTイニシアティブから発表される予定ですが、同時に4月30日にWebinarにて説明会が持たれる予定です。

 

【SBTイニシアティブによる説明会(Webinar)】

Webinar: New Resources and Criteria for Setting Science-based Targets (time suitable for Asia and Europe)

 

*正式名称は、「1.5℃の地球温暖化:気候変動の脅威への世界的な対応の強化、持続可能な開発及び貧困撲滅への努力の文脈における、工業化前の水準から1.5℃の地球温暖化による影響及び関連する世界の温室効果ガス(GHG)排出経路に関するIPCC特別報告書」